研究院オリジナル 2024年3月前半、中国メディアの報道や評論は主に以下の中日経済関係の内容および日系企業について多く取り上げた。
世間から注目を浴びた海口市でのレクサス割り増し販売事件
最近、海南省海口市で発生したレクサス販売代理店による割り増し販売に対して、レクサスは世論の矢面に立たされており、大きな注目を浴びている。
事の発端は以下のとおりだ。海口市の王さんは今年1月、同市中升にあるレクサス販売代理店で、販売スタッフと自動車の購入を契約し、頭金として5万元を支払ったが、頭金を支払った当日、王さんは店舗スタッフから納車するためにはさらに10万元の「サービス料」の支払いが必要だと知らされた。その後、王さんは海口市商務局に苦情を申し立てたところ、同商務局は価格法違反の疑いで同販売代理店の責任者を事情聴取したが、販売会社の顧客サービス責任者からの強い反発に遭った。
この出来事は中国の各ネットメディアで速やかに拡散され、レクサスの割り増し行為は居直り強盗のようなものだとネット上で大いに糾弾された。レクサスは2019年にも価格の割り増しで8700万元の罰金を科せられことがある。
レクサス側は今回の事件に対して沈黙を貫いており、同社は今回の事件がディーラーによる無断行為に過ぎないと考えている可能性があるが、民衆は常に感情的であり、もし対応を誤ると、レクサスのブランドは傷つくに違いない。特に毎年3月15日は中国の315消費者権利保護デーであり、この微妙な時期に、レクサスは直ちに危機への対策を図り、社会の関心に対して積極的に対応する必要がある。
ソニーがスマホ事業中国撤退のうわさを否定
最近、中国のネット上に突然現れたソニーのスマートフォン・Xperiaが中国市場から完全撤退するという噂がネット上で大きな注目を集め、熱い議論を巻き起こした。ソニー中国はこの噂にすぐに対応し、スマートフォン事業を含む多くの業務は運営が安定しているとし、また中国はソニーにとって最も重要な海外市場の一つであることを強調し、今後の中国の発展に溢れんばかりの期待を表明した。とはいえ、ソニーのXperiaが今後も中国市場をキープできるかどうかに対する市場の疑念は解消されていない。
ソニーのフラッグシップモデルとしてXperiaは、常にその素晴らしい技術とユニークなデザインによって市場で存在感を示してきた。2013年のXperiaZ1の発売以来、ずっと中国大陸で販売されてきた。中国国内スマートフォンメーカーの台頭に伴い、ソニーのスマートフォンも大きな試練に直面したが、常に一定の市場シェアを維持してきた。
ネット上では、一部の中国ユーザーがXperiaシリーズに対する愛着を示し、Xperia に対する自身のユニークな体験について取り上げた。そしてこの噂がデマに過ぎず、ソニーに中国市場を撤退する予定など本当にないことを願うと語った。またこれらのユーザーたちは、ソニーが引き続き中国市場で発展し、多くの革新的な製品をリリースしてほしいと訴えた。さらにユーザーたちはソニーがXperiaを撤退させるならばアフターサービスやメンテナンス保証に影響が及ぶことへの懸念を示した。
もしソニーが本当に中国市場を撤退するならば、世界のスマートフォン市場における同社の競争力がさらに失われる可能性があることに、業界も注目している。
中国の上場企業に少なからず存在する日本の支配株主
大半の人々が理解している点として、日本企業と製品は中国市場にすでに全面的に浸透しているが、実のところ中国の資本市場もかなりの日系資本によって深く開拓されており、中国の上場企業にも相当の日本の支配株主が存在しているが、それら株主の多くはあまり知られていない。
中国メディアの報道によると、その例を挙げるならば、例えば国内トップクラスのジルコニウム系新材料メーカーの三祥新材(SH603663)の大株主は日本の永翔貿易株式会社だ。本業が粉末冶金の東睦股份(SH600114)の大株主は睦特殊金属工業株式会社だ。有研硅(SH688432)の支配株主は株式会社 RS Technologiesで、同社は半導体材料の開発と生産を手掛ける。杭華股份(SH688571)は中日合弁のハイテク企業であり、大株主は株式会社T&K TOKAで、同社の事業はインクの開発、生産、販売だ。
業界は、総じて、日系資本は中国における材料のニッチ分野の大手企業に対して関心を抱いていると見ており、このような資本面での協力は実のところ中国企業のグローバル化の過程における一つの傾向を反映している。日系資本が中国企業の株式を保有することにより、技術と管理の方面での向上がもたらされるだけでなく、中国企業が国際市場を開拓する上でも助けになり、自社の国際競争力を高めることができ、双方にさらに多くのチャンスと発展の余地がもたらされる。
アウトドアスポーツウェアブランドのGoldwinが全面的に中国市場に参入
3月1日、アウトドアスポーツウェアブランドのGoldwinは、蘇州愿景零售有限公司(SGAR)と提携を結んだ。両社は中国で合弁会社を設立し、Goldwinブランドの製品の生産と販売を受け持つ。提携に従って、合弁会社は今年4月に江蘇省常熟市で設立され、持ち株比率はGoldwinが65%、SGARが35%だ。
Goldwinはグローバル市場の開拓を重要な中期経営戦略の一つとしており、まずは中国市場から手をつける。Goldwinは、「今回合弁会社を設立した理由は、世界拡大の過程において、中国市場を中心に据えたからだ。今後、GoldwinはSGARが中国国内に有する関連ネットワークの助けを得て、中国市場における店舗展開を加速し、業務拡大を推進する」と語った。
蘇州愿景零售有限公司は2022年8月2日に設立され、登記住所は常熟ハイテク産業開発区に位置する。