研究院オリジナル 2023年12月前半、中国メディアの報道や評論は主に以下の中日経済関係の内容および日系企業について多く取り上げた。

より採算性が高い輸出、広汽本田の輸出販売台数が50%増の見込み

中国で業務展開している日本車メーカーは、中国で製造した自動車を輸出した方がより採算性が高いことに気づいた。今年4月、広汽本田は自動車の輸出事業を開始することを正式に発表し、ハイブリッドモデルの「オデッセイ」と「ZR-V」を成功裏に日本および欧州へ輸出しており、輸出台数は約2万台に上る。広汽本田の製造力と品質管理力は海外の顧客からも高く認められており、欧州に輸出される「ZR-V e:HEV」を例に挙げると、欧州での価格は39,495ポンド(約711万円)で、中国市場での価格と比べると2倍に相当する。

同社関係部門の責任者によると、来年同社の輸出台数は3万台を超え、日本および欧州市場への輸出以外に、さらに多くの地域へ輸出され、輸出台数は50%増加する見込みだ。

「共創」を力強く推進、富士フイルムが主導する中国のスタートアップ企業

12月9日、富士フイルム(中国)投資有限公司は上海で「共創加速計画」の成果発表会を開催した。今年4月に、同社は協力パートナーとともに「富士フイルム(中国)共創加速計画」を立ち上げたが、それは主に中国のスタートアップ企業と中小企業を招待して、4つの富士フイルムの核心的な技術シーズを中心に、商品化のチャンスを共に模索し、中国ひいては世界全体でのサービスの提供に着手することを目的としている。

今回の富士フイルムの主な協力パートナーであるReGACYは、経営からインキュベーション、技術、投資までを一手に担い、イノベーションコンサルタントサービスを提供する企業で、日本(東京・広島)および中国(深セン)に拠点があり、長期的に中国および他の国々のリスク投資会社と手を組み、「新事業の共創」というスタイルで、日系企業がイノベーションプロジェクトで成果を上げるための支援を行っている。

2020年に、富士フイルムは上海に「富士フイルムオープンイノベーションセンター・中国上海支所」という展示スペースを設け、現在販売中の多くの製品に加えて、中国市場のニーズを見据え、中国においてさらなる協力を取り付けるための最新の成果および技術を展示している。

楽天が構築する中国ブランドが海外進出するための新たな道

現在、日本のEコマース市場の規模は世界3位であり、毎年拡大し続けている。楽天は日本で名の知られたB2Cネットショッピングサイトで、競争において優位性を手にするために、同社は日本市場に合った商品を世界中で探し求めているが、同社にとって隣国の製造業大国である中国は外せない地域だ。それゆえ、楽天は今、中国ブランドが海外に進出するための道を速やかに構築しようとしている。

中国の商品は価格が安く、種類が揃っており、品質も向上し続けているため、日本市場への中国商品の進出には非常に大きな発展の余地がある。中国の販売業者の懸念を払拭するために、楽天グループは進出から運営までの全工程をフォローアップし、楽天によるダイレクトかつ丁寧で行き届いたサービスを販売業者に提供し、中国の販売業者が首尾よく日本のEコマース市場に進出できるようにサポートする。中国ブランドの販売業者を日本に引き寄せるため、2023年4月、楽天は広東省で「国境を越えて日本へ、喜びはそこにあり」と題するブランドサミットを開催し、商品の選別や現地化された運営、物流、保険など海外進出のための様々なサービスを含む楽天のサービスを中国ブランドの販売業者に紹介した。

ANIPLEXの成功のカギ:正しいパートナーの選択

中国は日本アニメにとって最大の海外市場の一つで、日本アニメ産業の好マーケットだが、その中でもソニー・ミュージックエンタテインメントの最も大きな子会社であるANIPLEは1つの中国における成功例だ。同社が手掛ける『ソードアート・オンライン』、『鬼滅の刃』、『Fate』シリーズのアニメは、中国の日本アニメファンの間でも非常に評判が高く、フォロワーはANIPLEXを「A爹(A父さん)」と呼び、同社が市場に占める地位を高く認めている。

ANIPLEX中国公司は2019年に上海で設立され、同社が短期間で成功を収めることができた大きな要因は、動画サイト「ビリビリ(bilibili)」との提携だ。2020年にソニーグループは4億ドルを投入してビリビリの株主になり、ANIPLEXはビリビリを中国においてライセンス面で協力するための動画サイトとし、日本の国民的なスマートフォン向けロールプレイングゲームである《Fate/Grand Order》の中国における販売代理権をビリビリに付与した。

ビリビリは中国の二次元コンテンツユーザーから最も支持されているサイトだ。二次元コンテンツに対するビリビリのユーザーおよびグループの消費レベルや消費習慣、理解力は、当時の他のどのサイトよりもANIPLEXが目的とする層と最も合致した。さらに、ビリビリが他のエンターテイメントサイトと異なっているのは、ビリビリはフォロワー向けに多くのオフライン活動を展開していることであり、ANIPLEXに中国のフォロワーと直接接触できる手段を提供している。

ビリビリの助けを得て、ANIPLEXは中国市場で破竹の勢いで成長しており、日本アニメの導入に加えて、さらに中国アニメとの協力およびイノベーションを展開している。今年、ANIPLEXはビリビリと共同で『To Be Hero X』を手掛けたが、全体的な企画と調整はビリビリが担当し、ANIPLEXはアニメ制作面でのリソースと経験を提供した。

この他に、ANIPLEXは業界を超えた協力の面でも拡大している。一般的なアニメ関連およびアニメをテーマにしたカフェ以外に、アパレルやカバン、クレジットカード、チョコ・キャンディ、スマホゲームとのコラボなどの分野にも進出しており、また例えばローソンなどの中国の日系企業との提携も行っている。

中国で競争が激化、日本の洋菓子神話が中国で崩壊

LeTAOはかつて「チーズケーキの元祖」、「日本で食べるべきスイーツのチャンピオン」、「北海道の超人気スイーツ店」と呼ばれていた。LeTAOのためにわざわざ北海道に行く者もいたという。

2018年8月、LeTAOは上海の新天地ショッピングモールで中国初の店舗を出店し、その後店舗数は最多で25店まで拡大し、売り上げは日本の倍を記録し、ビジネスが尋常ではない爆発的な成功を収めた。2020事業年度、LeTAOの親会社である寿スピリッツグループの中国における売上高は前年比42%増で、6億3300万円に達した。

しかし、2021年に入ると、同社の業績は下り坂に入った。現在上海にある同社の店舗は陸家嘴国金中心店だけであり、ビジネスは悲惨な状態に陥った。

同社の業績悪化はLeTAO自体に何か問題があったというわけではなく、むしろ中国市場における熾烈を極めた競争に起因する。贏商大数据によると、上海には8000店以上の洋菓子店があり、毎月100店近くのベーカリーが新規開店している。新しいものに対する人々の関心は瞬く間に変化するため、リニューアルのペースが遅れると、新しい流行についていくことができず、一時的な成功で終わってしまう。

LeTAOと同じような運命をたどっている店はザラにある。今年8月、上海の淮海中路にあるDikka Bakery巴黎春天店が、開店からわずか半年で、ひっそりと閉店した。5月、「フランス菓子界のトップ」と呼ばれたルノートル(LENÔTRE)が、中国の最後の店舗を閉鎖した。1億元を投じて、多くのスターからのお墨付きを得ていた「昂司蛋糕」も2月に静かに姿を消した。

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『日系企業リーダー必読』は中国における日系企業向けの日本語研究レポートであり、中国の状況に対する日系企業の管理職の需要を満たすことを目指し、中日関係の情勢、中国政策の動向、中国経済の行き先、中国市場でのチャンス、中国における多国籍企業経営などの分野で発生した重大な事件、現状や問題について深く分析を行うものであります。毎月の5日と20日に発刊し、報告ごとの文字数は約15,000字です。

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