『必読』ダイジェスト PwCが4月7日に発表したレポートによると、中国に駐在している外国企業のおよそ7割がサプライチェーンを中国から外に移転することは考慮していないという。
「駐中国外国企業ボードメンバーの洞察――アジア太平洋サプライチェーン再構築」と題するアンケートレポートは主にPwCが今年3月に開催した「駐中国外国企業ボードメンバー朝食会」で得たデータである。朝食会の席上、PwCがアジア太平洋地区のサプライチェーン再構築をテーマに、参会した百余人のボードメンバーに対して聞き取り調査を行った。これはボードメンバーの中国のサプライチェーンの魅力に対するボードメンバーの評価から、外国企業の中国におけるサプライチェーン戦略面での将来の計画及び直面している試練に至るまでを理解しようというものだ。
中国におけるサプライチェーンの外国企業にとっての魅力について、レポートは80%を上回る回答企業が中国においてサプライチェーンの構築、維持を考慮する要素として「巨大市場」を挙げ、次いで「完全な産業チェーンと整備された関連付帯施設」(40%)と「整備されたインフラ」(36%)が第2位、第3位の要素として続いている。このほか、外国企業を引きつける重要要素として、「サプライチェーンの機敏性が比較的高い」(32%)、「人的資源の豊富さ」(22%)や「商工業のデジタル化レベルの高さ」(14%)に言及している。
試練について言えば、8割近い回答企業が「地政学的な情勢が不透明」が中国におけるサプライチェーンの最大の課題とみなしている。次いで「市場成長スピードの鈍化」(43%)、「人的資源、物流などの生産コストの上昇」(39%)を第2位、第3位に挙げている。このほか「低コスト国との競争」(25%)、「欧米製造業の本国回帰政策」(20%)、「人材欠乏」(18%)や「環境保護政策」(17%)も直面している課題とされている。
外国企業のサプライチェーンに関する計画や構想を見ると、このレポートから、大部分の外国企業が「中国市場に留まりたい」と考え、回答企業の70%以上が「生産部門あるいは販売部門の中国転出を考えていない」と答えていることがわかる。また「転出を考慮すべきか否か考慮中だが決定していない」という回答は18%、「すでに一部サプライチェーンあるいは販売部門を中国から移転させた」と回答した企業は12%だった。
中国からの移転をすでに考慮した、あるいは考慮中と回答した企業の目から見て、ベトナム、インド、インドネシアは目的地の上位3国である。これら3国は人口が多く、市場が大きく、労働力の面でも供給は十分である。ここ数年、これら3国政府も誘致政策の改革、推進を次々に打ち出し、外資誘致に努めている。
(『日系企業リーダー必読』2023年4月20日記事からダイジェスト)