研究院オリジナル 2023年6月後半、中国メディアの報道や評論は以下の中日経済関係の内容および日系企業について多く取り上げた。
見事なマーケティングでも救い難いマツダ
6月末にマツダが突如、中国のインターネットの人気検索ワードになった。その訳は6月25日の晩に、長安マツダが2023年度のファンフェスティバルで、香港の俳優・梁家輝が正式に長安マツダCX-50のアンバサダーに選ばれたことを盛大に発表したからだ。
1997年に上映された映画『黒金』で、梁家輝が演じた登場人物は、「マツダに乗っているのか、道理で渋滞にハマるわけだ」というセリフを語った。マツダは中国語で「馬自達」と訳され、馬あるいは馬車が自ずと到着するという意味合いがある。このセリフは20年以上経過しても依然として広く知られており、マツダの販売台数が下落したというニュースが流れるたびに、人々は皮肉を込めて「これはすべて梁家輝のせいだ」と言っている。マツダはこの梁家輝をアンバサダーとして選び、自ら「マツダに乗っていても渋滞しないよ」とネタを明かしているが、広告マーケティングの観点から見れば、このような何かを逆手に取って効果を上げるというのは実に巧みな手法だが、ではマツダの売り上げも増加に転じたのか?
今年1~5月、長安マツダの累計販売台数はわずか2万4800台で、前年比53.47%減であり、BYD傘下のある車種の一月の販売台数にも及ばず、見るに堪えない状況だ。
しかし、長安マツダは決して萎縮しておらず、むしろ野心にあふれた復興計画を立てており、2023年を「次の300万台への始動」において要となる1年と公言した。長期にわたって新製品が少なかったことは、マツダの販売台数が惨憺たるものになった直接的な原因だ。それゆえマツダは来年から、毎年1、2台の電動車モデルを中国市場に投入することを計画しており、純電動車以外に、R-EVも同じペースで投入するという。今回の梁家輝がアンバサダーを務めるCX-50も、一汽マツダと長安マツダの統合後初となる製品であり、「次の300万台への始動」における初製品として、長安マツダは非常に重視している。
マツダは苦心を重ねてマーケティング計画を立てているだけでなく、非常に競争力のある価格設定もしている。排気量が2000㏄のエントリークラスの価格は15万元で、ライバル製品のRAV4栄放よりも1万5000元前後安く、2500㏄のエントリークラスは17万元に設定した。
マツダは確かに力を尽くす気概を持っているが、マーケティングに頼っているだけでは、長安マツダの販売台数を回復させるのは難しい。中国の自動車市場には、150以上の自動車ブランドがあり、製品の実力の面で追いつけないなら、優れたマーケティングも徒労に終わってしまう。
CX-50をとってみても、マーケティングは成功しているとはいえ、製品自体の業界内での評価は高くない。ターボエンジンと新エネルギー自動車があふれている今日、CX-50は引き続き自然吸気エンジンを採用しており、動力は基本的に低水準であり、またCX-50のリアサスペンションや独立懸架ではないトーションビーム式サスペンションも、同じクラスの車種の中では独特な存在だ。
丸紅が中国で重点的に発展を目指す3つの分野
丸紅株式会社は1972年からずっと中国市場を開拓し続けており、今日に至るまで、北京や上海、広州などの地区に続々と支社を設けてきた。最近、同社執行役員で中国総代表を務める篠田聡夫氏は中国メディアからの取材を受けた際に、開放された中国市場は必ず各国の企業に多くのチャンスをもたらすという考えを示した。中国経済が質の高い成長を続けているという背景の下で、同社は中国における発展の重点として3つの分野を定めた。一つは、人々のライフスタイルの多様化に対応するための準備として、同社は素材および原材料の貿易を拡大する計画を立てている。もう一つは、社会問題に対応することだ。そして最後の一つは、中国国内の商業組織と第三国市場の開拓だ。
篠田聡夫氏は、今まさに世界はエコ・低炭素を特徴とする産業革命および技術革新を迎えているという認識を示した。エコ・低炭素へのモデルチェンジはすでに経済社会発展の大潮流となっており、この大きな背景の下で、中国は「ダブルカーボン」(カーボンピークアウトとカーボンニュートラル)の目標を掲げ、エコ・低炭素へのモデルチェンジを加速しているが、この中国の目標と丸紅が掲げるエコ事業戦略は図らずも一致し、同社は中国の産業構造の最適化・高度化および経済のエコ・低炭素へのモデルチェンジに積極的に参加することにより、中国の経済社会発展がもたらす巨大なチャンスをモノにしようとしている。
中国の食品企業が積極的に求めいる日本市場での発展チャンス
6月末、50社以上の中国の食品企業が「2023国際食品・飲料商談Week」で、日本市場における自社の影響力を拡大することを目標に、自社の現地化されたハイテク又は有機商品をアピールした。
中国はこれまでずっと、日本にとって2番目に大きな食品輸入元だが、その主な商品は一次産品である農林水産の原材料であり、農林水産省のデータによると、2022年に日本が中国から輸入した主要な食品は、冷凍野菜、鶏肉製品、脱脂大豆、生鮮野菜などだが、最初の2つの製品は日本における同類商品の総輸入量の46.9%、34.8%をそれぞれ占める。中国の食品加工業が発展するにつれて、ますます多くの中国の食品企業が低価格の原材料の輸出だけでは満足できなくなり、積極的に加工食品の製品を日本市場に売り込もうとしている。単純な食品製品の輸出以外に、日本に対して農業の科学技術の輸出を試みる企業もある。例えば、浙江省の中禾宝桑生物科技有限公司は水や糖分、添加物を含まず、濃縮還元ではないストレートジュースで日本の顧客を非常に驚かせた。なぜなら日本のメーカが販売しているフルーツジュースの大半は濃縮還元された果汁で作られているからであり、現在伊藤忠商事や三井商事などの商社がパートナーシップを結んでいる。
ファーウェイが日系企業30社に特許料を徴収
現在、ファーウェイは日本の中小企業約30社に対して特許使用料を徴収しようとしているが、もし交渉が決裂した場合、これらの日系企業は営業を続けられなくなる可能性がある。
ファーウェイは世界最大の特許取得企業の一つだ。ファーウェイの2022年財務報告によると、2022年末時点で、同社の世界で所有する有効な特許権は12万件を超えているという。ファーウェイはモバイル通信、短距離通信、コーデックなど多くの主要標準の特許分野で先進的な地位にあり、すでに数百社の企業が双方による合意や費用の支払いにより、ファーウェイの特許ライセンスを取得している。これらの企業の中には日系企業も少なくない。例えば、ファーウェイは自社のコネクテッドカーの4G通信技術に関連する特許の使用を許可することでスズキ自動車と合意に達した。
地政治などの原因により、現在ファーウェイの一部の製品は海外市場での販売が順調ではない。しかし、特許使用料はこれらの要素の影響を受けることはない。ある情報によると、ファーウェイは米国市場でも特許使用料を徴収しているという。