陳言/文 39年ぶりに広西チワン族自治区の南寧を訪れた。今回の訪問は第19回アセアン博覧会に出席するためだ。
この数年間における中国最大の貿易パートナーはアセアンで、そのあとにEU、米国、日本が続くことは知っている。2022年はかなりの確率で、経済規模が日本の三分の一の韓国が日本に替わって中国の4番目の貿易パートナーになることだろう。アセアン博覧会がかなり賑わいでいることは容易に想像できる。行って見てみると、まだまだコロナ禍にあるにもかかわらず、同博覧会の規模は確かに大きく、非常に盛況だった。
知らなかったのは、南寧で平陸運河の開削が始まったことだった。南寧についた後、現地の人々が平陸運河について話しているのを聞いたが、漢字で何と書くか、どこからどこまでなのか、急いでネットで検索した。そうしなければ、それがどのくらい大きく、どれほど重要なのか全く分からなかったからだ。
727億元が投じられたことを知って、このプロジェクトの規模を推定することができた。この工事は1000年前に建設された京杭大運河に続く二つ目の大型運河であり、現代の重要な国家プロジェクトだ。この運河の建設も同様に水上輸送の発展を主な目的にしており、かつ給水や灌漑、水害防止、水の生態環境の改善の目的も兼ね備えている
飛行機の上から見ると、広西チワン族自治区は河川に事欠かないように思えるが、地理的にそれらはすべて西から東に流れており、北から南に流れる河川は少ない。平陸運河の建設によってこの問題が解消される。同運河は南寧から開削し、そこから南に向かい、最終的に運河の水は北部の湾から海に流れ出る。北から南へのルートにおいて、もし郁江に位置する西津ダムと海面との間に落差があるとすれば、その高低差は65メートルになるため、3つの階段式閘門を設けてこの落差を克服する必要がある。このような平陸運河では、世界最大規模の内陸水路の節水型閘門が建設されることによって、閘門を稼働させるために使用する水の量を顕著に減らすことができる。
同運河が完成して船の航行が始まると、広東省広州市を経由して海に出る場合と比較して航行距離が560キロ以上も短縮され、広西チワン族自治区の内陸部および中国の西南部、西北地区から海に出るまでのルートとしては最も短く、かつ最も経済的で便利な経路となり、中国南部を流れる河川である西江での水上輸送のスムーズな運行に関する問題を効果的に解決でき、中国西部の陸と海における新たな通路の輸送能力を大幅に向上させることができる。
輸送能力の向上やアセアン諸国との関係により、中国企業は南寧や広西チワン族自治区を新たなビジネスチャンスと見ている。南寧東部に新たに建設された伶俐工業団地内の20GWhのリチウム電池プロジェクトもすでに始動しており、同時に甘粛の金川集団銅業有限公司も広西の防城港市に投資し、40万t/aの銅電解プロジェクトに着手している。
同運河の建設と電池や銅電解プロジェクトが同時に進行することにより、広西の経済は完全に変わり、広西、雲南、貴州とアセアンの関係はさらに強化されることだろう。機会があれば、同運河を探訪し、さらに中国とアセアンの経済的な往来についても取材したいと思っている。
(中国日本商会HP 2022年10月25日より)