陳言/文 20年前に山口県で働いていた時、最も多く会った中国人は山東人だった。なぜなら、山東省と山口県は友好都市で、山口市と済南市も友好関係だからだ。
7月下旬に筆者は2022多国籍企業(済南)ハイレベル対話会に参加した。北京の防疫政策を考えると、車で行った方が安全だ。北京市から済南市まで400キロ。車で4時間の距離だ。ただ、帰りはやや時間がかかる。北京に入る時の防疫検査がかなり厳しく、帰り着くまでに5時間近くかかった。
北京市から済南市に行く途中、黄河を渡ると済南市に着いたことが分かる。済南という都市は、北は黄河、南は泰山で、かつては南北12キロしかなかった。都市の発展は東か西にしか広がっていなかったが、現在の済南の東西の長さは約100キロで、筆者が見た都市のなかで、東西で最も長い都市だといえるだろう。
済南市投資促進局長の李洪偉氏は、済南市の土地面積は1万平方キロメートル、人口は1000万人で、国内総生産(GDP)はすでに1兆元を超えていると述べた。とくに、「土地面積が1万平方キロメートル」という説明を聞いたとき、イメージしていた済南市とはかなり違っていると感じた。後で聞いてみると、済南市はここ数年北に広がり始めており、黄河以北の大量の土地が済南市に編入されていることがわかった。つまり、黄河を越えたことで、済南市が土地面積で制約を受けていたという問題が一気に解決されたということになる。
北に拡大した済南市からさらに北に向かうと京津冀(北京市・天津市・河北省)という中国の新たな発展重点地域がある。中国経済が南から北へ徐々に発展するなかで、済南市の連結点としての役割はますます重要になっている。李氏は「済南市は41の工業大類のうち38の工業を擁しており、中国全土で最も多くの種類の工業を擁する都市の1つだ」と述べた。北へ拡大後の工業の発展は新たなクライマックスを迎えるだろう。
農業は北へ拡大した後も新たな発展の基盤がある。昨年丸紅は済南市で中日協力グリーン循環農業モデルプロジェクトをスタートし、済南市で生姜、果物トウモロコシ、マスクメロンなどの生態栽培のモデルケース栽培を行った。筆者は済南市で果物のトウモロコシとマスクメロンを味わってみたが、とても美味しかった。農産物の特注専用拠点+地域サービスセンターという産業モデルは、日本企業の中国における農産物食品業務に新たな発展のチャンスを与えものだと筆者は考える。
北へ拡大した済南市は、工業、農業、観光などのサービス業をさらにレベルアップさせ、北上を続ける中国経済を済南市の段階で輝かせることができるはずだ。そのなかで、済南市と山口市、日本との関係もさらに発展していくはずだ。
(中国日本商会HP 2022年8月11日より)