陳言/文 北京のGDPが上海を超え、中国一となったことに、少し意外さを覚えた。

2022年1~6月、北京のGDPは1兆9352億元に達し、上海よりも3億元多くなった。1兆を超えた数字において3億元はたいしたことではなく、今年上海の経済回復力がかなり弱く、2022年に北京が上海を超えるのは大いにあり得ることであったが、ひとたび超えた後に、上海が再び経済規模が最大という座を奪回できるかは、確かなことではない。

ここでは、2022年上半期の上海のコロナ対策において行われた「全域静態管理」については語らず、改革開放以降40年余り、北京と上海の差がずっと少しずつ縮小してきた結果、今年の逆転という状況が起きたことを見てみたいと思う。

秦朔友人圏のある文章の中で、以下のような特徴が言及されている。「1978年時点では上海のGDPは北京の2.5倍だった。この後、少し下がりはしたが、1982年までは、上海の経済総量はずっと北京の2倍以上を維持し続けた。1983~1999年、上海の北京に対する優勢はしだいに弱まって1.5倍となった。21世紀に入ってからは、1.4倍から1.07倍まで、さらに低下を続けた」

筆者がみるに、中国経済の重点は再び北へと戻りつつある。華南の2つの大都市のうち、深圳の上半期のGDPは1兆5016億元で、広州は1兆3433億元であったが、深圳も広州も、上海を超えるのは困難だった。言い換えれば、上海のトップ独占を打ち破るには、南方の都市の経済力ではちょっと難しかったといえる。さらに突き詰めて言えば、中国の大都市の中で上海を超えることのできるのは北京だけだ。中国の経済発展は、40年前に華南が改革開放で先頭に立ち、得た成果も最大だった。その後、華東が改革開放の恩恵を受け、上海は20年前から力を発揮しはじめ、周辺地域の助けによって、上海は発展していった。経済がさらに北上していくと、済南の経済規模が1兆を超えるという状況が起き、続けて北京のGDPが上海を超えた。

北京は首都であり、各国の経済発展は基本的にどこも首都を中心としている。地理的にみると、今までは川沿いや沿海地方が優勢だったが、高速鉄道や高速道路ができてからは、こうした新しい交通手段と水上輸送との効率の差がなくなった。北京の発展は高速鉄道や高速道路、航空などの新しい交通条件を十分に利用したものである。

新しい交通条件によって、北京は今後数年の間、発展の持続が保証されていて、今後長期的に上海を超えていくのも、意外な現象ではなくなるだろう。

中国日本商会HPより 2022年8月5日

大手企業を含む多くの日系企業が購読している『必読』

『日系企業リーダー必読』は中国における日系企業向けの日本語研究レポートであり、中国の状況に対する日系企業の管理職の需要を満たすことを目指し、中日関係の情勢、中国政策の動向、中国経済の行き先、中国市場でのチャンス、中国における多国籍企業経営などの分野で発生した重大な事件、現状や問題について深く分析を行うものであります。毎月の5日と20日に発刊し、報告ごとの文字数は約15,000字です。

現在、『日系企業リーダー必読』の購読企業は、世界ランキング500にランクインした日本企業を含む数十社にのぼります。

サンプルをお求めの場合、chenyan@jpins.com.cnへメールをください。メールに会社名、フルネーム、職務をご記入いただきます。よろしくお願いいたします。

メールマガジンの購読

当研究院のメールマガジンをご購読いただくと、当方の週報を無料配信いたします。ほかにも次のような特典がございます。

·当サイト掲載の記事の配信

·研究院の各種研究レポート(コンパクト版)の配信

·研究院主催の各種イベントのお知らせ及び招待状

週報の配信を希望されない場合、その旨をお知らせください。