陳言/文 いつの間にかポスト・コロナに足を踏み入れていたのかもしれない。

6月6日、上海の大部分の企業が操業を再開した。

筆者が住んでいるのは北京豊台区であるが、6日に朝一番でSNSアプリを見ると、6日と7日の2日間はPCR検査は不要と書かれていた。4月末以降、5月中ずっと、毎日起きたらすぐPCR検査の列に並んでいたものだ。行列はどんどん長くなり、最初は人と人との間隔が10センチにも満たなかったのが、後に1メートル、さらには2メートルとなり、ほとんど会話はなく、もくもくと順番を待つ。

身分証明書チェックの場所に着き、二次元コードをスキャンすると、スマホから「通过」(合格)のメッセージが出て、少なくとも今日の心配事が一つ片付いたように感じた。ポップアップの通知音が鳴ると、前後に並んでいたおじさんやおばさんは、コロナ患者に出くわしたかのように、さらに互いの距離を開けた。警備員が数メートル向こうから駆けつけてくる。ポップアップ4の場合、PCR検査漏れなので続けて列に並んでも問題ないが、その他のポップアップだった場合は病院で検査を受けるしかなく、それから後は数知れない面倒が待ち受けている。

コロナが発生したとき、思いがけない加速度的な変化が中国各地に出現した。あっという間に居住区の出入り口が一つを残して封鎖され、健康コードがないとスーパーに入れず、当然高速鉄道や飛行機にも乗れない。続いて何千キロにものぼる高速道路のサービスエリアの大部分も閉鎖された。そして上海では、二カ月余りの間一歩も外に出れないという状況だったらしい。全国一律が突然自治体ごとの行政に変わり、上海の状況はより特殊なものとなった。人流、物流、サプライチェーンの維持すべてに巨大な変化が現れた。

ポストコロナには、2022年上半期に失われた時間を全力で取り戻す必要があり、加速度的変化もまた同様に、予定通りやってくるだろう。生産を回復するだけでなく、失われた注文、失われた投資チャンスを取り戻し、消費(輸出)に力を入れる必要があるだろう。多くの地方政府や企業は、ゆっくりと経済秩序がしだいに回復してくるのを待つことはできず、その他の地方政府や企業と競い合いながら、すぐさま成績を得る必要がある。経済回復もまた、意表を突く勢いになるかもしれない。

新型コロナウイルスは2003年のSARSのように突然消え去るとは思われない。ポスト・コロナに経済が加速度的に回復し始め、正常な軌道へと戻ったとき、変異ウイルス以外にも、故郷へ戻った従業員の復帰、数カ月もの間滞っていた物流、中断されたサプライチェーンなど各種の問題を解決するのは簡単ではない。急いで正常な状態へ戻ろうとすればするほど、矛盾も激しく噴出してくることだろう。問題解決はやはり中央・地方政府の行政能力、企業の管理手段、民衆の協力態度次第だといえる。

しかし、ポスト・コロナの経済が良い方向に向かいさえすれば、やはり発展途中の大部分の問題を解決していくだろうと思われる。

(中国日本商会HP 2022年6月7日より)

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