研究院オリジナル これは中日企業提携がもたらしたウインウインの好事例だ。
2月25日、塩野義製薬は厚生労働省に対して正式に治験の承認を申請した。情報によると、この日本初の国産新型コロナウイルス経口薬「S-217622」の薬効は、米国が生産している複数の内服薬を上回っている。
中国の新型コロナウイルスの状況が3月に非常に深刻になったため、このニュースにより中国の医薬品企業の株価が瞬く間に急騰し、その中でも北大医薬は9営業日で株価が100%跳ね上がった。これらの「塩野義関連銘柄」の企業は次々に公告を出し、自社と塩野義製薬は何の関係もないことを明確にせざるをえなくなり、北大医薬も何度も注意を喚起し、これまで新型コロナウイルス特効薬の開発を行ったことなどなく、新型コロナウイルス特効薬関連の提携について塩野義製薬と交渉したこともないと伝えた。
実のところ、塩野義製薬が本当に提携していたのは中国の保険会社最大手の中国平安だった。
2020年3月、中国平安と塩野義製薬は戦略的提携協議に合意し、塩野義製薬は中国平安傘下の平安人寿保険会社に金庫株635万6000株を売却したが、取引額は335億3000万円(約21億8000万元)だった。取引が完了した後、平安人寿は塩野義製薬の重要戦略的な意味合いを持つ株主となった。
2021年7月、双方の提携はさらに大きな進展を遂げ、合弁により設立された平安塩野義有限公司が上海で開業し、未病看護、予防、診断、主要な治療薬および追跡訪問などの段階で、運動や市販薬、ワクチン、新薬などの健康管理プランを提供している。上海にある合弁会社の開業式当日、平安塩野義董事長兼CEOの吉田達守氏は、同社は中国の平安グループが有する世界で一流のAI技術と塩野義製薬の新薬研究における経験を融合し、引き続き製薬業界の常識を覆し、積極的にイノベーションを推進し、中国人民の健康に貢献することを明言した。
これこそ正真正銘のウインウイン提携だ。中国平安は塩野義製薬の研究機能中枢である医薬研究センターを核心技術の力として中国に導入し、新薬を模索し続け、より効率的で、より迅速な医薬品開発を実現している。塩野義は中国平安のデジタル化技術力の後押しを受けて、データによる医薬品開発を推進し、特定疾病の新薬開発を加速している。
販売の方面で、日本でも製薬会社として最大手ではない塩野義は中国平安の医療エコシステムのおかげで、同社が擁する質の高い処方薬やOTC医薬品などの商品を普及させることができており、驚くべき効果を上げている。2021年のデータによると、平安塩野義における末端販売の専門チームの規模は340人に達しており、販売商品は15品目で、中国31の省、自治区、直轄市において、10万軒以上の薬局、診療所、公衆衛生センターをカバーしている。