「長い間、日系企業のニュースを聞いていない」「日系企業が今、どんな製品を作っているのか分からない」…SNS上で「日系企業」というキーワードを検索すると、かつて中国市場でよく見られ、品質やデザインで中国の人々に知られた日系企業が、今では中国での存在感がかつてほどではないことを示しているようだ。この現象をどう考えるか。

日本企業(中国)研究院と環球網の共同企画プレミアムビデオインタビュー『企事録ー企業事録・言談日本』2022年3月30日号は、同研究院執行院長の陳言氏と日本貿易振興機構(JETRO)北京代表処投資総監の金京浩氏が対談し、先に述べた話題について掘り下げて語った。

「日系企業の存在感がますます低下している」という現象について、陳氏は次のように分析する。日系企業が中国市場に進出したのは家電などのコンシューマーエレクトロニクス(消費者用電子機器)分野が最も早く、とくに20〜30年前にはパナソニック、ソニー、東芝、日立などのブランドが中国で非常に強く、1世代の人たちの記憶になった。中国企業は、トヨタの「リーン生産」など、当時の日系企業の生産管理の経験にも学んだ。


2000年代に入って中国企業はコンシューマーエレクトロニクスなど直接に消費者を対象としたTo C分野で世界トップレベルとなった。かつて国内のCエンド分野で影響力を持っていた日系企業の多くが、中国市場での「存在感」が低下するのは必至だ。

「日系企業の中国での事業は、初めは一般に知られているCエンドに集中していたが、より深いレベルで企業にサービスを提供するBエンドにシフトしている」。金京浩氏は、日系企業の存在感低下に対するネットユーザーの疑問にこのように答えた。

陳氏は金氏の観点に賛同した上で、中日経済協力の新たな可能性を模索する上で、モビリティ、ヘルスケア・養老、「ダブルカーボン」の分野に注目すべきだ述べた。

陳氏と金氏は、「モビリティ分野では、日本の伝統的な自動車メーカーはEV競争でスタートが遅れていると言われているが、新エネルギー車の発展モデルが明確になり、長年培ってきた完成車サプライチェーン分野での強みを頼りに、日本の自動車メーカーは急速に追いつく可能性が高い」との見方を示した。さらに言えば、現在の電気自動車の分野では、バッテリー技術、完成車の設計、安全設計など、関連する重要部品の生産での日系企業の影響力は無視できない。

「ダブルカーボン」分野では、日本は伝統的な省エネ・排出削減技術大国であり、日系企業の製品は性能や設計などの面で、「ミニマム、低エネルギー、再利用可能」という特徴がある。これらの特徴の背後にある技術と経験は、いずれも現在の中国の「ダブルカーボン」目標とマッチしており、将来の中日企業の関連分野での協力の潜在的チャンスをもたらす。

中国はすでに高齢化社会に突入しているが、日本は1970年に65歳以上の人口が総人口の7%を占め、高齢化社会に突入した。だが、2012年からコロナ禍前まで、日本は7年連続で成長を遂げており、これは中国が参考にすべき点だ。

「高齢化への対応は、企業の人材管理、医療・介護分野の発展においても、中国企業は日本企業の成功経験や技術の蓄積に学ぶ価値がある」と金氏は語った。医療・健康・介護分野では、パナソニック、キヤノン、富士フイルムなどの日系企業が世界トップレベルの技術を持っているとみている。とくにパナソニックは2021年の上海国際輸入博覧会でヘルスケア・養老を中心とする「松下社区」ソリューションを出展した。

最後に、陳氏と金氏は、日系企業は中国で引き続き市場を開拓するだけでなく、新たな協力段階へと踏み出し、5G、インダストリアルインターネット、デジタル経済、高精度機械設備などの分野で、中日双方により多くの協力チャンスがあるとの見方を示した。

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